うららか
郷倉和子《うららか》 1997(平成9)年/紙本着色・四曲一隻屏風/95.0cm×192.0cm/日本美術院再興第82回展
自宅の日本家屋と、道路をはさんで隣りの梅林の一部を題材としています。2月初めから中頃にかけて咲く梅。「日が差して、気持ちのいい日に、梅がかわいらしく、花をいっぱい咲かせている。暖かい周囲の空気と、その中でうららかに咲く梅を描いてみたかった」と作家は言いました。家屋の直線的で端正(たんせい)な形と、梅の枝のまろやかさがよく響き合っています。画壇の長の一人として努力を積み重ねてきた作家ならではの揺るぎない安定感と、しみじみとした枯淡(こたん)の趣(おもむき)を醸(かも)し出しています。