夕陽
郷倉和子《夕陽》 1958(昭和33)年/紙本着色・四曲一隻屏風/168.0cm×335.0cm/再興第43回日本美術院展(佳作・白寿賞)
対角線構図により、広い野原の要所、見所を一つの画面にまとめ、再構成しています。幻想豊かに、紫、朱、白、黄と比較的珍しい色の組合せを大胆に試みています。画面全体に大らかな気分が満ち、生き生きとした力強さと、女性作家ならではの妖艶(ようえん)さが融け合っています。琳派(りんぱ)の様式を作家なりに考え、あちこちに取り入れたとのこと。画面中心下のヤマドリは、横に長く流れる構図を引き締めるアクセントとなっています。重く沈んだ画面の多い院展にあって、明るく華やかでひときわ目立つ作品だったでしょう。