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牡丹

郷倉千靭

《牡丹》 1948(昭和23)年/絹本着彩・二曲一双屏風/各71.3cm×170.0cm/再興第33回日本美術院展

千靱ならではの様式は影をひそめ、高い写実性が光輝を放ちます。作家は新潟県新赤倉での疎開生活から一家を挙げて東京に帰還し、牡丹の観察と研究を通して創作の初心に立ち返ったと思われます。満開の花、硬いつぼみなど、花の様々なあり様が見られます。右隻(せき)の紅牡丹、左隻の白牡丹とその斜め下の小さな牡丹はそれぞれ、父、母子のようで、子の一人が両腕を広げて父に追いすがろうとし、その様子を母が頭(こうべ)を垂れて見守っているかのようです。郷倉家の家族模様でしょうか。戦時下の苦境を無事乗り切り、平和に暮らせるようになったことへの喜びや感謝の念がこもっているのでしょうか。

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