《雪の漁港》 制作年未詳/MO紙、水彩/38.0cm×57.0cm
作家は地元の旧新湊漁港(新湊西漁港)によく足を運び、港や船、その周辺の建屋(たてや)を題材にいくつもの水彩画を残しました。比較的忠実に写生したものもあれば、絵本の挿(さし)絵のように詩情味豊かに描いたものもあり、本作品は後者の代表作の一つです。絵とその対象に向き合う作家の、子供のように純粋無垢(むく)な心が表れています。ふんわり積もった雪が、得(え)も言われぬ温かみを感じさせ、黄緑色の空などとあいまって、観る者を夢や郷愁(きょうしゅう)の世界に誘(いざな)います。