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アダンの影

高越甚

《アダンの影》 1986(昭和61)年/紙本着彩・額装/198.6cm×179.7cm/第18回日展(委嘱出品)/射水市蔵

作家は、亜熱帯の植物が醸し出す旋律と造形は面白い、真昼は強くエネルギッシュだが、夜になると清冽(せいれつ)な月光と静寂のもと神秘的になり、心打たれると言います。沖縄県与那国島(よなぐにじま)に取材し、アダンの森の影から暁に誘われるように外へ出ようとする一羽の鳥を描いています。自然の観察と研究に裏打ちされた写実性と、作家ならではの様式性をともに高め、本作品でよく合一させたと評されます。この鳥を、画の課題とそれに伴う苦闘を乗り越えた自身の姿になぞらえているのでしょうか。作家の会心作の一つ。

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