立女
長谷川義起《立女》 1953(昭和28)年/ブロンズ/高132cm、幅48cm、奥行34cm/原型;第9回日展(審査員出品)
義起62歳の作品です。戦後はスポーツ彫刻のほか、裸婦像を継続的に発表しました。モデルの女性は、作家の子女や子息と同じ20代だったと思われ、ストールらしきものをまとっています。健康美が格調高く表現されており、作家の制作に対する思い入れが乗り移ったかのように、凛(りん)とした強さをたたえています。本作品が作られた当時の日本は、太平洋戦争後の復興や、連合国総司令部(GHQ)の推進による民主化などが急速に進み、高度経済成長期に入ろうとしていました。作家は新しい時代の息吹を感じつつ、その担い手としての若者に希求するあり方を作品に託したのでしょうか。