© Imizu City Shinminato Museum.

製図器具 鉄筆

 石黒信由以下4代が作製した下絵図には、一見しただけではわかりませんが、ライト等を使うと無数の押し線が引かれていることがわかります。測点間のみならず、測点から目印となる遠くの山等へも引かれています。方位・距離の実測データをもとに、そのまま絵図を描くと誤差が大きくなるため、目印への方位を測ることで誤差を修正しました。そのため作図に際し、この押し線を引く必要があったのです。普通の筆とは異なり、鉄筆の先端部は押し線を刻むのに便利なように平たくなっています。信由はこの線を「白系」と呼び、これを引くための黄銅製の器具、用界(ようかい)を『測遠用器之巻』と『測量法実用』に図解しています。鉄筆の用途も用界と同様であったと考えられます。

 長さ14.6㎝。