絵図(広域地図) 測量
象限儀
測量器具 象限儀
道の傾斜や勾配を測る器具です。 これは石黒信由の孫、信之が使っていたもので、箱書から作者は金沢の大工長右衛門、塗師は金沢の弥兵衛で、天保9年(1838)3月に作られたことがわかります。 右上からおもりを付けた糸を垂らして目盛を読み取り傾斜の度数を求めます。 この象限儀は対角目盛と呼ばれる精密な目盛が記されていることが大きな特徴です。 斜めに縦線を書き入れることで一桁詳しい数値を読み取ることができますが、さらにこの斜め線と交わる10本の横線の目盛間隔は均等ではなく、内から外に向かうにつれて広くなっています。 これは西洋数学を用いて正しい目盛方を計算したうえで描かれたものです。 この対角目盛はヨーロッパで考案され、のち中国を通じて日本に入り、伊能忠敬が日本で初めて使用したといわれています。
金沢では文政5年(1822)から城下町の測量・絵図作製や彗星観測、時法の改革に取り組んだ遠藤高璟(たかのり)・河野久太郎・西村太冲・三角風蔵らがこの対角目盛の象限儀を使用しており、彼らと信由・信之との交流関係による入手と考えられます。
径30.2㎝、厚さ2.3㎝。